本記事は、3x3x3 キューブの目隠し競技(BLD)におけるエッジ解法であり、UFバッファかつ少ない基本手順で簡易的な3点交換(3-cycle)手順を作ることを可能とする「RERUメソッド」の仕組みを紹介するものです。以下のような方にお試し頂きたいと思っています。
なお、本記事ではひとまず解法の仕組みについて解説することを目的としているため、UF/UFR バッファ解法で共通となる考え方(パリティ解消手段等)については未記載です。(今後記載するかも…)
ちなみに "RERU" の筆者本人的発音は「れーるー」です。(U を強調するため)
一般的なキューブの回転記号 (U, D, F, B, L, R, M, S, E
) に加え、手順を簡略に表記するための以下の記号を使用します。
[A: B] = A B A'
例えば、[R' E' R: U']
は (R' E' R) (U') (R' E' R)' = R' E' R U' R' E R
を示します。基本手順の紹介では両方の表記を記載しています。
まずは本メソッドを構成する基本的な5種類の手順を紹介します。いずれも、UF をバッファ、UR をターゲットとし、対象パーツを UR にインサートして、U'
または U
で交換を行う手順となります。
[R' E' R: U'] //1st: R' E' R U' R' E R
[R' E' R: U] //2nd: R' E' R U R' E R
または
[R E R': U'] //1st: R E R' U' R E' R
[R E R': U] //2nd: R E R' U R E' R
//
の後はコメントであり、[A: B]
記号を展開した状態の回転記号も併せて記載しています。
1st は、3点交換の1つ目のパーツを交換する手順、2nd は、2つ目のパーツを交換する手順となります。といっても中間の U'
か U
の違いだけなのでまとめて覚えられるかと思います。
[R' E R: U'] //1st: R' E R U' R' E' R
[R' E R: U] //2nd: R' E R U R' E' R
[R E' R': U'] //1st: R E' R' U' R E R'
[R E' R': U] //2nd: R E' R' U R E R'
[R' E2 R: U'] //1st: R' E2 R U' R' E2 R
[R' E2 R: U] //2nd: R' E2 R U R' E2 R
[R E2 R': U'] //1st: R E2 R' U' R E2 R'
[R E2 R': U] //2nd: R E2 R' U R E2 R'
いずれも [R* E* R*: U*]
の組合せで構成される手順なので、それほど難しくはないかと思います。
なお自明ではありますすが、交換対象パーツが UR だった場合の手順もついても記載しておきます。
U' //1st
U //2nd
単に U'
, U
するだけです。
また、これらの基本手順により交換可能となる6つのパーツ: UR, RD, LF, FL, LB, BL を、SP (setup point) と定義します。
SP(UR, RD, LF, FL, LB, BL)を示した図
以上の基本手順を習得すれば、これら6つの SP については3点交換を容易に行うことが可能となります。以下に例を記載しましょう。
[R' E' R: U'] //1st, RD
[R' E R: U] //2nd, LF (alg.cubing.net)
このように基本手順で示した、1st (1つ目のパーツの手順) と 2nd (2つ目のパーツの手順) を組み合わせるだけで、3点交換を行うことができます。
※alg.cubing.net のリンクから実際の動きを確認できます。
[R' E R: U'] //1st, LF
[R E' R': U] //2nd, LB (alg.cubing.net)
[R' E2 R: U'] //1st, BL
[R' E R: U] //2nd, LF (alg.cubing.net)
U' //1st, UR
[R' E' R: U] //2nd, RD (alg.cubing.net)
交換対象に UR を含む場合は、U'
または U
だけになるので楽ですね。ちなみにこの手順は結果的に [U', R' E' R] = U' R' E' R U R' E R
というコミュテータとなっています。(記号が [: ]
でなく [, ]
になっているのに注意)
さて、SP の6パーツ同士であれば3点交換を行うことが可能となりましたが、その他のパーツについてはどのように交換すればよいでしょうか。答えは「交換対象パーツ2点を SP の位置にセットアップして3点交換を行い、セットアップ戻しを行う」ということになります。
これも例で示していきましょう。
B R //setup (LB, RD)
[R E' R': U'] //1st, LB
[R' E' R: U] //2nd, RD
R' B' //undo setup (alg.cubing.net)
E' //setup (LF, LB)
[R' E R: U'] //1st, LF
[R E' R': U] //2nd, LB
E //undo setup (alg.cubing.net)
R2' D R2 //setup (UR, RD)
U' //1st, UR
[R' E' R: U] //2nd, RD
R2' D' R2 //undo setup (alg.cubing.net)
L //setup (UR, LF)
U' //1st, UR
[R' E R: U] //1st, LF
L' //undo setup (alg.cubing.net)
または
S //setup (RD, UR)
[R' E' R: U'] //1st, RD
U //2nd, UR
S' //undo setup (alg.cubing.net)
いかがでしょうか。セットアップにおける制限はただ一つ、バッファである UF パーツが最終的にその位置に留まっていればよい というだけなので、かなり自由度の高いセットアップが可能な解法であるかと思います。
以上のようにRERUメソッドは交換対象に UR を含む場合は簡単となる一方、UL についてはそうでもないように見えますが、簡単なセットアップで UL を含む交換手順を簡易にすることも可能です。以下に例を記載します。
U' //setup (UR, LF)
[R' E R: U'] //1st, LF
U //2nd, UR
U //undo setup (alg.cubing.net)
以上のように U'
セットアップを行うことにより、UL, UF の位置関係を UF, UR に変えることができるので、これにRERUメソッドを適用することができます。ただし元々バッファである UF パーツが UR の位置に移動してしまうので、パーツの解決順序が逆転することになります。
この例題は UF UL LF の順の3点交換ですが、U'
セットアップした場合は先に LF の交換を行い、次に UR の交換を行う形となります。
UL については、最初のうちは L'
で BL、L
で FL にセットアップするのが分かり易いかと思いますが、RERUメソッドに十分慣れてきたら、この U'
セットアップも活用して頂ければと思います。
SP のうち、FL と LF、BL と LB は、それぞれ一つのパーツの両面が SP となっているので、一つ目のパーツ交換手順と二つ目のパーツ交換手順を同じパーツの異なる面のものとすることにより、エッジ反転を行うことができます。以下に例を記載します。
[R E2 R': U'] //1st, FL
[R' E R: U] //2nd, LF (alg.cubing.net)
交換の順序は FL → LF でなく LF → FL でも構いません。自分のやり易い順序で行って頂ければと思います。