em要素とstrong要素

HTMLにはemとstrongという要素型があり、それぞれ強調emphasisより強い強調stronger emphasisを示すものとされています。これらの要素については、強調の強弱を示すためなら要素を多重に入れ子にすればよい(例えば、<strong><strong>強調</strong></strong> のように)との考えから、強調を表す要素は2つも必要無いという意見があります。

しかし、自分は少し以前から、em要素とstrong要素は単に前者より後者が強いというようなものではなく、それぞれ別の意味合いを持つ要素なのではないかという考えを持っており、なんとなくそのように使い分けています。

そう考えるようになった理由は、一般的なブラウザにおける両要素の表示スタイルが、em要素は斜体、strong要素は太字であり、また英語で書かれた本で斜体と太字がどのように使われているかについて考えたからでした。とは言っても自分は英語は全く得意ではなく、洋書に触れた経験も極少ないものでしかないのですが。

さてその数少ない経験から想起してみると、英語の活字文書において、太字で書かれている箇所はより強い調子で読まれるべき箇所、読者に強く注意を喚起したい箇所であり、これは日本語での強調という言葉にそのまま該当するものだと思います。日本語の活字文書で同等の表現をするとすれば、同じように太字にするのがおそらく妥当でしょう。または、字を大きくするとか。

一方、斜体は、強い調子でというよりは、その文脈において語句の持つ通常一般の意味とは違う使われ方をする場合に用いられているような気がします。だから強調と呼ぶのはややニュアンスが違っていて、通常とちょっと異なる調子(異調?)とでも言われるべき箇所なのではないかと考えています。また、日本語の活字文書においては、傍点をつけたりとか、または鉤括弧や引用符で囲ったりするのが、この英語における斜体に相当する表現になるのではないかと思います。

で、この太字と斜体の意味合いの違いが、そのままstrong要素とem要素の違いになるのではないか……と考えたわけです。

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HTMLには、em要素と同様、通常の表示スタイルが斜体になっている要素として、dfn要素とcite要素があります。dfn要素は文中で定義が述べられている語句として用いられ、cite要素は引用元である書名・文書の表題として用いられます。これらは、その語句が通常一般的な意味合いで解釈した場合とは違う意味を持つことがあるという点で、共通しているかと思います。

つまり、em要素・dfn要素・cite要素は、どれもこの語句は通常の意味とはちょっと違うよという箇所を表すという点で仲間なのではないかと思うのです。また、斜体で表現されるもののうち、割と意味が限定されよく使用されるものがdfn要素・cite要素として定義され、そのどちらにも該当しないものがem要素の担当する領分なのではないか、とも。

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……と、以上のような考えから自分はem要素とstrong要素を別物として使用してます。強いてこのように使われるべきだと主張するつもりはありませんが、両方の要素があった方がいいなあとは思っています。

ところで、このようにem要素とstrong要素を使い分けるとすると、em要素を多重に入れ子するという使い方はあまり意味が無いような気がします。通常と違うもの通常と違うものを掛け合せるとどうなるか予測がつかないので(巡り巡って通常の語句になるのか、或いは更に違うものになるのか)。逆にstrong要素については、多重に入れ子にすることで、強調強調を掛け合わせたもの、つまり更なる強調を表すことができると考えられます。

というわけで、更により強い強調を表現したい場合はstrong要素を入れ子にするのが妥当と考えます。

言及

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