二・ニ問題

コンピュータにおける二千年問題は既に過去のものとなった感があるが、日本語テキストにおける特有の問題『二・ニ問題』(と私が勝手に呼んでいる)は、その多くが未解決のまま残されている。

と書き出してみたものの、本題に入る前に『二・ニ問題』とは何かを説明すればなるまい。ちょっと古いが某所にあった長野冬季五輪の記事を例を挙げて見てみよう。

ノルディック複合(白馬村)は個人が十三、十四日。前回より一人多い四人ずつで競う団体は十九、ニ十日の予定。後半距離のリレーが一人5キロのスプリントになる。

お分かりだろうか。上記の「ニ十日」の「ニ」は漢数字のではなく、片仮名のになっているのだ。

この現象は勿論、漢字の「二」と片仮名の「ニ」が同音かつほぼ同形ということから起こり得る現象だ。上記の文章では、おそらく「二十」という語句を記述するために「にじゅう」と入力し、変換キーを押したところ、「に/じゅう」と文節が分かれてしまい、また「に」の変換でうっかり片仮名の「ニ」を選んでしまったのだろう。

この現象は見た目にはなかなか気付きにくく、それだけに深刻である。例えばgooで以下の『二・ニ問題関連語句』を検索してみると、

と、比較的多くの件数がヒットする*ことからも、この問題の深刻さがうかがわれる。

* 上記語句でヒットした文章には、漢字+片仮名表記(例:“天皇ノ御祈ノ為ニ百躰ノ…”)なども含まれており、ヒット件数が必ずしも『二・ニ問題』を含む文章の数と等しいわけではない。

『二・ニ問題』の発生を避けるには、漢数字の「二」を変換する際には数字の「2」から変換する、などの普段からの注意が必要になるだろう。また、フォントに明朝体など、ゴシック体でないものを使用していると、比較的「二」と「ニ」の区別は容易になると思われる。例えばWindowsのフォント「MS 明朝」では、漢数字の「二」の横画はまっすぐに、片仮名の「ニ」はやや斜めに表示され、区別しやすい。

しかし、これらの対処が決定的に効果のあるものかどうか、私は未だ確信が持てないでいる。

『二・ニ問題』にくれぐれも御用心あれ。

(2000年4月18日)

追記

同様の問題に、「ー・−問題」が挙げられる(仮名表記での音引と、2バイト英文字のハイフン)。これらの記号はどちらも頻繁に使用され、また入力に多くの場合同じキーが使われるため、より深刻であると思われる。試しにgooで「CDーROM」を検索すると、2057件ものヒットがあった。

(2000年6月11日)

参考

二・ニ問題に触れていると思われる頁

北村曉 kits@akatsukinishisu.net