きちんと

「きちんと」という言葉を使うのにやや抵抗を感じることがあります。いったい如何なる状態が「きちん」という言葉で表されるのか、と考えてしまうと、とたんにその三文字が全く無意味な音の羅列のような気がしてしまうのです。嘘でも「kitchenの様に整ったさま」のような語源があれば安心して使えるような気がするのですが。

同じ様に、「ちゃんと」という言葉も気になる存在です。「ちゃん」って何だろう。

(2000年3月15日)

追記

と書いたところ、6月22日に常塚聴さんより「ちゃんと」の語源について意見を頂きました。有難うございます。

さて、「ちゃんと」という言葉について「ちゃんって何だろう」とおっしゃっておられましたので、いささか調べてみました。

『日本国語大辞典』(小学館)によりますと、「ちゃんと」の語源は「丁度」と同じものであると考えられ、またその原型は「丁と」に関係があったようです。つまり、

ちゃんと ・ ちょうど ← ちょうと

となります。

「丁と」には、「物が激しくぶつかり合う音を表す語」「激しくにらみつけるさま」「力強くかみ合ったり、しまったりするさま」「整然としているさま」という語義があるようで、つまり「ガチャン!と音を立ててぶつかり合う」「がっちりとかみ合っている」というイメージが、「ぴったり合わさっている」「きっちりとしている」へと発展したものと思われます。

つまり、以上のようなことから考えますに、「ちゃんと」の「ちゃん」は、「ガチャン!」の「ちゃん」と、そのもともとは同じだったのではないか、と思われるわけです。

なるほどなるほど。

(2000年6月22日)

北村曉 kits@akatsukinishisu.net