やまいだれに合わせろ 〜 熟語部首統一作戦 〜

芥川龍之介著『侏儒の言葉』を読んでいたら「麻痺」を「痲痺」と表記してあるのを見つけまして、「これだ!」と漢字好きの心が沸き立ったわけです。やはり部首が合わせてあると熟語としての見栄えもよくなるというもの。

例えば「膨張」よりも「膨脹」とか、「発酵」よりも「醗酵」とか。あと工場の看板などで「板金」を「鈑金」と書いてあったりとか。

探してみたところ、以下の例が見つかりました。

元素漢字にも「硫[石黄]」(元素番号16)という例がありました。他に見つかりましたらメール掲示板で教えて下さい。

ところで「痲」には「しびれる」の意味があるそうで、意味的にも「痲痺」の方が合っている感じがします。「麻」って植物だし。いや、「麻酔」を考えてみると、麻も合ってはいるような。ってそんな考え方でいいのか。

「痲」によく似た字で「痳」というのもあり、こちらは「淋病」の意とのこと。じつは「淋病」も「痳病」が本来の書き方のようです。なるほど「淋」も略字であったのか。でもそのような病気になってしまっては確かに淋しかろう、という気もしますが。ってそんな考え方でいいのか。

註:「淋=さびしい」は日本だけの用法です。

(2000年7月17日)

追記

北村曉 kits@akatsukinishisu.net