豚の戰爭12月25日より、おかし日記の用字について:
satoshii さんからメールをいただきました。
おかし日記と言えば「壱應」はアリなんでしょうか?(ってなんで猪川さんに訊いてるんだろ笑)
かういふのに大字をつかふのは妙な気はしますが、あと私は「一往」つて書きますけど、「アリ」なんぢやないでせうか。
大字(「一」に対する「壱(壹)」など)は、本来別の意味を持つ字なので、数字として用いられる漢数字について大字に置き換えるのはありとしても、数そのものの意味とはやや離れた使われ方をしている、熟語の中の漢数字について置き換えるのは違和感がありました。
たとえるなら、「一兆円」を「1兆円」と書き換えるのはありとしても、「一応」「一般」を「1応」「1般」と書くのはどうか、というところのような。ただし、漢和辞典をひいてみると「壱意」「壱切」「統壱」などは熟語として記載されているものもあり、それらは当然ありだとも思われ、判断は難しいところです。
異字体との置き換えであれば、「一」に対しては古字である「弌」を使うのもよいかも。
おかし日記での用字については、他に「本」を「夲」に置き換えているのが気になっていました。「夲」は、確かに「本」の俗字でもあるのですが、音をトウといい「すすむ」という意味を持つ全く別の字としての側面もあります。引用などのために用いるならともかく、新しく書く文章に使う字としては、個人的には俗な用方よりは字が独自に持つ意味の方を優先したい気がします。
などと突っ込み気味になっていますが、かく言う自分もおかし日記を拝見して「こういう異字体もあったのか」と知った字は多くあり、日々大変興味深く読んでいるのです。そういえば11月8日には長い訓読みを持つ字について触れて頂き、大変参考にしていたにも関わらず今まで何の返事も出さず失礼しました。どのくらい有難かったかといえば、それはもう日記で取り上げていた「説文解字 篆書字典」を即座にbk1で注文したくらいの勢いでありました。当然既に手に入れており、大漢和辭典での長訓読みとの比較をしてみたいと思いつつなかなか時間が取れず棚上げになっている昨今です。
(2002年12月27日)
北村曉 kits@akatsukinishisu.net