何かの日記の3月28日分「字体弄り」で述べられている「突込み
」は、たぶん自分が出したメールのことでしょう。メールの中からつっこみにあたる部分を以下に抜粋してみます。
『字体弄りの変遷』のページ中で文字参照を使用されてますが、
自分の環境では多くの文字が「・」のような表示になっています。UnicodeのE000〜F8FF(十進では57344〜63743)のコードは
Private Use Area(外字用の領域)であるので、
この範囲の文字参照の表示はフォント依存になると思われます。どのフォントを使うと正しく見えるのか……も気になるところですが、
字体を視覚的に示す方法であれば、画像を使うなどした方が
より多くの環境で読めるものとなるかと思いますが、いかがでしょう。
補足すると、petroniusさん作の字体弄りの変遷のページでは""のような外字領域の文字参照が数多く使われています。この文字参照は外字なので、特定のフォントでないと著者の意図通りの表示にはなりません。そのようなフォントに依存した表示よりは、画像を使うなどした方がよいのでは……というつっこみでした。
さらに補足を。例えば「乒」(Unicodeでは20050(十進)、4e52(十六進))の字は、Windows98のMS 明朝(北村の環境)では表示されず、Arial Unicode MSでは表示されます。この文字を表わすために"乒"や"乒"などの文字参照を使うことは、一見「フォント依存の表示方法」であるようにも見えます。
しかしこの場合はむしろ、Windows98のMS 明朝がUnicodeに未対応であることが問題となります。HTML文書における文字集合はISO10646(Unicode2.0と等価)を使用すると定められているので、"乒"の文字参照を使うことには問題ありません。またUnicodeにおいて20050(十六進で4e52)のコードは「兵から右下の丶をぬいた形の文字」と、特定の文字であることが規定されています。なのでこのコードを用いた乒という文字参照は、たとえあるフォントで表示されなくとも、コードから文字の特定は可能であり、データとしても意味のあるものと言えます。
それでは""の文字参照はどうでしょうか。petroniusさんはこれを「二点之繞 + 兔」の字として使用されているようですが、そのコードと文字を結びつけるのは特定のフォントでしかありません。Unicodeにおける57993のコードは先にも述べたとおり外字用の領域(Private Use Area)であり、いかなる特定の文字とも定められていません。同じ外字セットを共有する環境下ならともかく、広く公開するためのデータ(HTML文書)としては、57993のコードは意味を持たないと思われます。
……というわけで、(メールでは省略してましたが)単に表示の問題だけでなく文書データとしても問題があることを踏まえた上でのつっこみだったのですが、いかがでしょうか。>petroniusさん
以下、引用は「字体弄り」から。
此れは敢へて意図してあの表示を行つたものだ。漢字の字体弄りの馬鹿馬鹿しさを体感して貰ふのが裏の意図である。
「漢字の字体弄りの馬鹿馬鹿しさを体感して貰ふ
」、というのはむしろ表の意図と受け取っていました。それはともかく、なぜ「敢へて意図してあの表示を行つた
」のか、よく分からないままでいます。
あのコードで表示できるフォントが慥かにある。あるのだが、見た処で、「こんな事をしてゐるなんて」と云ふ風に思ふのが落ちだらう。
「こんな事をしてゐるなんて
」、と読者に思ってもらうことは、その前の文からするとまさしくpetroniusさんの意図するところと思うのですが、敢えてあのような表示を行うのはその意図を妨げることになるのではないでしょうか。
ところで、「何かの日記」はURLがそのうち変動してしまうのが、引用する者としてはつらいところです。「変動URL・IDあり」なページよりも「固定URL・IDなし」なページの方が、個人的には有難かったりするのです。
(2002年3月30日)
北村曉 kits@akatsukinishisu.net