『テトペッテンソン』を観る

駅の待合室で一休みしていたところ、TVでNHKの「みんなのうた」をやっていました。さほど気にもとめずTVとは後向きに座っていたのですが、「テトペッテンソンテトペッテンソン……」という妙な歌声が聞こえてきて、思わず何事かと振り返って見ました。

それがまさしく「テトペッテンソン」という題名の歌でありました。歌詞は「テトペッテンソン テトペッテンソン テトペッテンソンタントン……」といった調子で、音は歌が進むにつれて変わっていく(「タトペッテンソン」とか)ものの、意味のある歌詞は一切なし。で画面はといえば、色とりどりの直方体が画面の外から中心にすーっと集まってきて、うまい具合に組み合わさったと思ったらまた画面外にすーっと出て行く、といった映像の繰り返し。歌はずっと同じ調子で続くのかと思って見ていたら、後半で「テットレー! タットレー!」という呼び掛け(?)まで出てきてそこでまた驚き、終始呆気にとられたまま、超現実的な歌と映像が過ぎ去っていくのを眺めておりました。最後に出たクレジットで、歌っているのが井上順と知ったときにはとどめをさされた思いでした。

家に帰って「テトペッテンソン」を検索してみると、既に幾つかのページでも話題として挙がっており、取り敢えず自分が見たものが幻でなかったことに安堵しましたが、あの初めて見たときの衝撃は当分忘れそうにありません。

(2002年10月28日)

北村曉 kits@akatsukinishisu.net