9月14日。漢字についての質問のお便りを頂きました。自分は一介の漢字好きに過ぎぬので、こういったお便りを頂くと少々恐縮してしまうのですが、有難いことでもあります。
実は,息子の受験勉強で,「十口」の読み方が試験問題に出ておりまして,以前に 習った先生には,「じっくち」と読むのが正しい,と教わったので,そう答えたら間 違いにされたとのことです. 正解は「じゅっくち」ということなのですが,そうなのでしょうか.
なんだとう(間違いにした先生に対して)。ちなみに自分の回答は以下。
「十」は旧かなでは「ジフ」なので、音便化するときは 「ジュッ」ではなく「ジッ」になるのが本来の読みになります。
念のため手元にある三冊の漢和辞典を確認してみましたが、 「十」を含む熟語に対して「ジュッ」の読みを示したものはありませんでした。
また、常用漢字表には「十」の読みとして ジュウ・ジッ・とお・と が挙げられており、「ジュッ」の読みはありません。 であるので、厳密に常用漢字表に従うならば、 「ジュッくち」の読みこそが間違っているとも言える、と思います。
ちなみに、「十口」には「ジッコウ」という読みもあるようです。 (新明解漢和辞典に、「(1)十人。十人家族。(2)十人扶持」の意の 熟語として載っていました)
また、「十」の読みについて述べられたページを見つけました。 参考になるかと思います。
- http://kuzan.f-edu.fukui-u.ac.jp/menicuita/9706.htm#08
- http://www.gahaha.com/history/200012.html
(1,243rd 2000/12/22の項)
つーか、漢字や言葉で「間違い」を断定するんならまず辞書くらいひいてから言いやがれこんちくしょう。…………あら、わたくしとしたことがおほほほほ(←誰)。ともあれ、教職につく方には自らも知識に対して謙虚であってほしいと望むものであります。
ジフといえば、うちのページには漢字のGIF画像が大量にあるので問題だなあ、といまごろになって思っていたり。XHTML化も済んでおらず、PNGに変換することを思うと気が遠くなるのでもう暫くは後回し。
(2001年9月16日)
satoshiiさんより言及ありました。そういえば自分も実際しゃべるときは「ジュッ」になってしまいます。上記の回答ではあくまで読み仮名についての話のつもりでした。
ペトロニウスさんからも言及頂きました。歴史的仮名遣ひと音便、参考になります。
思いかえしてみると、「『十』は『ジッ』と読む」ことを学校では習ってはいなかったような。
(2001年9月17日)
北村曉 kits@akatsukinishisu.net